嬉しい出来事
大量の薬を処方されそれを律義に飲み、症状に合わせて薬を減らしたり増やしたりする処方を受けて1年半が経ったころに私は初めてその人に出会いました。立ち上がりが辛かったり、記憶があいまいになることがあったりしているうちに幻覚が表れ始めました。頻繁に表れる幻覚に不安をつのらせておられました。
一月前に薬を減らしたそうです。一月経ってお会いしたきょうはとても晴れやかですっきりした表情をされていました。歩くのにも不安だったそうですが、杖一本ですたすたと歩き、お買い物の荷物も手で持って帰宅されたそうです。
話す内容にも一つも齟齬がなく、気配り万全で行動も素早くしておられ、心から嬉しくて笑いながら涙が出そうでした。
ご自身で「あんな嫌な思いはしたくない」という強い気持ちから、お元気な姿に戻られたのだけれど、それにしても、こんなにも薬の弊害があるのだなと思ったことでした。語尾まではっきりとした物言いを聞きながら、その自信に満ちた態度に喜びで気持ちが満たされるのを感じていました。